【確定申告】給与所得と事業所得の損益通算は可能か?
こんにちは!本郷 春都(はると)です。
本日のテーマは、「給与所得と事業所得の損益通算は可能か?」です。
結論からお伝えすると、
- 給与所得と事業所得の損益通算は可能です
- ただし、副業の利益が「事業所得」に当たらない場合は、雑所得です
- 事業所得ではなく雑所得とされてしまうと、損益通算できません
順番に見ていきましょう。
1.前提
会社員の給与がなかなか増えない中で、副業を始める人も増えていますね。
副業を始めると、会社員としてもらっている給与以外に、副業によって得る収入が発生します。そこで、確定申告(青色申告)しよう、となるわけです(節税したいし)。
そこで、ふと疑問に思います。給与所得と事業所得は損益通算できるのか?
言い換えると、事業所得が赤字であれば、給与所得の黒字から差し引くことができるのか?ということです。
言葉の定義は、次のとおりです(国税庁のサイトから引用)。
- 給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます
- 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得をいいます
- 損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの(下記2(1)~(4)記載の所得)についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです
(1) 不動産所得
(2) 事業所得
(3) 譲渡所得
(4) 山林所得
給与所得は、
収入金額(給与や賞与等の額面) ー 給与所得控除 ー 特定支出控除
事業所得は、
総収入金額 ー 必要経費
で計算されます。
ここで気になるのは、事業収入(副業)が赤字だった場合に、給与所得の黒字から差し引いて、所得額を計算できるのですか、ということです。
2.給与所得と事業所得の損益通算は可能です
税理士さんのブログによると、給与所得と事業所得の損益通算は可能です。
引用すると、「国税庁のサイト(タックスアンサーNo.2250)にあるように、事業所得が赤字であれば、損益通算にて他の所得の黒字から差し引くことができます。
「他の所得」には給与所得も含まれるので、例えば会社に勤めて給料をもらっている(=給与所得がある)ひとが、その他に事業を行っていて赤字となった場合、黒字の給与所得と赤字の事業所得を通算して正味の所得を圧縮できるわけです。
そうして確定申告することで、給与をもらう際に源泉徴収にて差し引かれた所得税が還付されることになり、また、翌年の住民税の額も減少します。」
ええやん。
失敗を恐れずに、副業にチャレンジできるから。
3.ただし、副業の利益が「事業所得」に当たらない場合は、雑所得です
ここで注意が必要なのは、「その副業って、ほんとうに事業所得なの?」ということです。
事業所得については、過去の最高裁判決で「事業所得とは自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性・有償性を有し、かつ、反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう」と述べられています。
- 自己の計算と危険において営まれていること
- 独立していること
- 営利性・有償性を有していること
- 反復継続して遂行する意思が客観的に認められること
- 反復継続して遂行する社会的地位が客観的に認められること
があるって認められないと、「事業所得」じゃないよっていうことですね。
「事業所得」じゃないなら何なの?っていうと、「雑所得」です。
4.事業所得ではなく雑所得とされてしまうと、損益通算できません
雑所得とは、国税庁がテンプレとして考えている所得(儲け)のどれにも当てはまらないもの、という意味です。
もし副業の利益(ここでは赤字ですが)が雑所得とされてしまうと、損益通算ができません。言い換えると、事業収入(副業)が赤字だったとしても、給与所得の黒字から差し引いて、所得額を計算することはできません。
5.参考にしたサイト
【副業で本当に節税できるのか?】給与所得と事業所得の損益通算 | 良いサービスを良心的な価格で|東京都国分寺市の松田篤史税理士事務所
読んでいただいて、ありがとうございます。
あなたの役に立つ情報をこれからも発信していきます!
是非また訪れてくださいね。
本郷 春都